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機械式時計の精度についてご注意事項

機械式時計はぜんまいが巻き解ける力を動力にして針を動かし、小さな金属部品同士が物理的に働き合って精度をコントロールする機構です。機械式時計の繊細な金属部品は、温度や重力、衝撃などの外部環境や、携帯時間やぜんまいの巻上げ量といった使用状況の影響を受けやすく、それが時計の進み/遅れとして現れてきます。

  1. 機械式時計の精度は「平均日差」

  2. クオーツ時計の精度は月差±15秒や年差±10秒というように、月や年単位で表されます。これは、一ヶ月あるいは一年を通して使った場合にトータルの精度誤差がどの位であるかということを示しています。

    これに対し機械式時計の精度は「平均日差」で表すのが一般的です。

    機械式時計の精度は様々な使用環境の影響を受けて毎日微妙に変化し、一定していないのが普通です。そこで一日のみではなく、一週間から10日間程度使用した場合の平均値を見て精度の良し悪しを判断する必要があります。

    グランドセイコー機械式時計の携帯使用時の精度は、一日あたり-1~+10秒(9S86、9S85の場合は-1~+8秒、9S27の場合は-5 ~+10秒)の範囲を目安としております。通常のご使用状態で、一週間から10日間程度お使いになった際の平均値がこの目安範囲を超えてしまう場合は、調整をおすすめします。

    ご使用期間が長く、部品が経年劣化している場合にはご希望の精度に調整できないこともありますので予めご了承ください。詳しくはアフターサービスについてをご覧ください。

  3. 精度に影響を与える要素:その1 ぜんまいの巻上げ量

  4. 機械式時計をより良い精度でお使いいただくためには、ぜんまいからなるべく一定した強いエネルギーが各部品に供給されることが必要です。

    ぜんまいがいっぱいに巻き上げられている状態では精度も安定していますが、ぜんまいがほどけてきて供給されるエネルギーが弱まると、精度を制御する部品が外部からの影響を受けやすくなり、精度も不安定になります。

    安定した精度でお使いいただくためには、ぜんまいが十分に巻き上げられた状態でご使用することをおすすめします。

  5. 精度に影響を与える要素:その2 温度の影響

  6. 機械式時計の部品は金属製なので、温度の変化によって微妙に伸び縮みし、それが精度に影響を与えます。一般に高温下では遅れがちに、低温下では進みがちになります。

  7. 精度に影響を与える要素:その3 姿勢(時計の向き)による差

  8. 機械式時計の精度に関わる部品は、地球の重力からも影響を受けています。例えば時計を水平にしたときと、12時側を上にして時計を立てて置いたときでは、進み・遅れが変わります。

    時計を腕に着用しないときは、置きかたによって着用中に生じた精度の誤差をある程度補正することもできます。様々な向きをお試しになり、ご自分の時計に合う置き方を見つけてください。