スプリングドライブは、機械式時計と同様に、ぜんまいを巻き上げ、そのぜんまいがほどける力で針を動かします。
調速機構(精度を制御する仕組み)だけが、機械式時計と異なります。
温度変化について
機械式時計の精度の要は、てんぷと呼ばれる部品についているひげぜんまいです。これは温度の変化によって伸び縮みする特性があり、時計の精度に影響を与えます。スプリングドライブの精度を制御しているのは水晶振動子なので、機械式時計のように大きく温度変化により影響を受ける事はありません。
(注)
スプリングドライブの精度 平均月差±15秒(日差±1秒相当)※は、気温5℃~35℃で腕につけた場合の精度です。
キャリバー9R01の場合は平均月差±10秒(日差±0.5秒相当)の特別精度になります。
姿勢差について
機械式時計は、姿勢(時計の向き)の違いでも精度に影響が出ます。これも、機械式時計の精度を制御するてんぷが原因です。姿勢差により、てんぷの軸が他の部品と接触する面積に違いが出て、その抵抗の差が精度に影響を及ぼすのです。スプリングドライブはてんぷではなく水晶振動子を用いているので、姿勢差による精度への影響はありません。
衝撃について
機械式時計は衝撃に弱いものです。衝撃を受けるとてんぷの振り角(左右に回転する角度)を変えてしまい、さらにはひげぜんまいの形状まで変形させてしまう場合すらあります。スプリングドライブはてんぷを用いていないので、この点、機械式時計よりも耐衝撃性に優れています。
オーバーホールについて
機械式時計で最も磨耗・損傷の激しい部分のひとつは、調速・脱進機構と呼ばれるてんぷ、アンクル、がんぎ車です。これらの部品は交互に「接触、衝突」し、ぜんまいのほどけかたを調整しています。
スプリングドライブは電磁ブレーキにより「非接触」でローターの回転速度を調整しているので、機械式時計よりも磨耗・損傷が少なくなります。しかし、輪列部分は機械式時計と同様ですから、歯車同士が当たることで磨耗粉が出ることもあります。3~4年に一度のオーバーホールをおすすめいたします。