小谷実由、「Grand Seiko 和菓子屋 とき」で時のうつろいを食む
UNKNOWN HARAJUKUにて10月7日(金)〜16日(日)の10日間限定で開催された「Grand Seiko 和菓子屋 とき」にモデル・エッセイストとして活躍する小谷実由さんが来店した。ここは、フードエッセイスト・フードディレクターとして幅広く活躍する平野紗季子さんがプロデュースした “まぼろしの和菓子店”。記憶に残る一瞬を菓子に込めて制作する「御菓子丸」の杉山早陽子さんと、完全予約制の茶寮「菓子屋ここのつ」の溝口実穂さんの2名の菓子作家が携わり、「時」をテーマにした儚くも美しい和菓子を世に送り出した。小谷さんに、“時間”を繊細に映し取った空間と和菓子を実際に感じてもらった。
まぼろしの和菓子店「Grand Seiko 和菓子屋 とき」
自然や季節の移ろいからインスピレーションを受ける感性と、それぞれの道を究め、時の本質に迫る––日本独自の美意識と精神性を、ブランドフィロソフィー「THE NATURE OF TIME」として掲げるグランドセイコー。「Grand Seiko 和菓屋 とき」のクリエイティブディレクターである平野紗季子さんは、「和菓子は風景を表現する、歴史ある素晴らしいものです。和菓子をつくることと、“THE NATURE OF TIME”というコンセプトはシンクロするところがあると考えています」と語る。
「時を食(は)む」をテーマにした和菓子店には、二度とない瞬間を丁寧に扱った商品が並ぶ。小谷さんは「一瞬で溶けてしまうものも、一日という儚い命のものも……どれも見とれてしまうくらい美しく、和菓子の名前と姿がマッチしていると思います」と話す。
「私は一日の終わりにベッドに横たわって眠りにつくまでの時間が好きで。自分の歩んでいる日々を俯瞰して見ることができる時間になっているなと。和菓子を見て、自分の“好きな時間”を思い出してしまいました。平野さんの生み出す表現は、私たちが見たことのあるような体験をもとにつくられているんだなと思いますね」。
御菓子丸 杉山早陽子開発
一瞬 淡雪と山葡萄の寒天
山葡萄の寒天とヨーグルトとカルダモンやレモンバーベナの風味を混ぜ合わせた淡雪(あわゆき)の二層で織りなす生菓子。自然や季節の移ろいからインスピレーションを受け、秋の実りを表現した。しゅわり、消えるまろやかな酸味に一瞬の儚さと、それゆえの美しさを感じることができる。
一分 陽の出の琥珀糖
檜とミントから、檸檬と黒文字、パッションフルーツとフランボワーズへと味が変化していく。暁から東雲、そして曙へ。たった一分、わずかな時間でも朝の空は刻々と表情を変えていく。その奇跡のような経過を和菓子に映し取った。まさに時間を愛おしく思う、格別の菓子。
菓子屋ここのつ 溝口実穂開発
一日 スパイス水もち
(白あん・黒あん)
24時間という時間の中で味わってほしい、贅沢な食体験。口の中に広がるきな粉と自家製スパイスあんの甘みは幸せそのものだ。雲のような食感は自家製羽二重餅(はぶたえもち)。厳選された素材と職人技でとびきりエアリーに仕上がった。
一週間 和薔薇とレモングラスのぷるぷる
(和薔薇のゼリー・ レモングラスのゼリー・和薔薇とレモングラスの二層のゼリー)
煌びやかな味の正体は、石垣島のレモングラスと滋賀のほとりの農園でつくられる、桃のような香りの和薔薇。最も美しい一週間が永遠に続くよう祈りながら透明なゼリーの中に香りと花びらを閉じ込めた。
限定特別菓子
技巧 熟成栗の最中と茶器(左)
(和菓子+急須+茶葉)
熊本の熟成栗・美玖里(みくり)とつぶあんを炊いた自家製の栗餡に寄り添う茶葉をセレクトした。自宅で「菓子屋ここのつ」が提案する菓子と茶を体験できるように、菓子と茶器と茶葉を一揃えにしたセット。ガラスだけでつくられた日本製茶器でお茶を淹れ、味わう最中は特別なひとときになること間違いなし。
永遠 丹波栗と山栗の羊羹と金工の器(右)
(和菓子+器)
もっちりとした丹波栗の羊羹と栗きんとん、京都の山に自生する山栗の渋皮煮。さまざまな栗の味わいや食感を堪能することができる一品だ。この秋の恵みをつめ込んだのは金工家・中村友美さんのつくる器。美しい経年変化を持ち味とし、“一生”という時間を共に歩んでくれる。
「人生で食事をする時間は限られているので、“何かを味わう”という行為を無駄なものにしたくないんです。一度一度、大切に向き合いたい。ここにある和菓子も、実際に手に取り、味わって、自分のものにすることができるのが嬉しい。“時間”が身体に浸透していくというかそういう“時間”を過ごすというか……“こんな素晴らしいものを食べた”という記憶が大切なものになっていくんだなと」。小谷さんの語るように、平野さんの心や目を通してアウトプットされた“時間”を身体に浸透させていくことができるのは、とても貴重で幸せなできごとだ。
時を食(は)む。−−とっておきの空間で、瞬間を切り取る
「“Grand Seiko 和菓子屋 とき”に足を踏み入れた瞬間は、非日常的な印象を受けました。でも、この空間や和菓子をどんな想いでつくり上げたのかを知るにつれ、あたたかい気持ちがじわじわと沸き上がってきて。自分の知っている“時間”がこんなに素敵なものに変化するとは。そして、あらためて“美味しいな”、そして“美しいと感じる気持ち”を大切にしたいと思いました」
小谷さんの気持ちを動かしたこの空間をつくり上げたのは、アートディレクター・グラフィックデザイナーの田部井美奈さん。時の本質を追い求めるとともに自然や季節の移ろいからインスピレーションを受ける、日本独自の美意識と精神性を表現したグランドセイコーのブランドフィロソフィー・“THE NATURE OF TIME”から着想した、モダンな障子で囲われたインスタレーション。
「30代になり、特別なときには腕時計を着けたいという憧れがありました」と話す小谷さんは「Grand Seiko 和菓子屋 とき」に訪れるにあたり、グランドセイコーを着用。優雅なきらめきに心が躍ったという。「繊細で、どんなお洋服にも合うのが嬉しい。馴染みがよく品のいいシルバーでときめきました。ジュエリーのような雰囲気があって背筋がしゃんと伸びますね」。
一瞬、一分、一日と時間を重ねてきた小谷さんの人生で、忘れられない時間について聞いた。「愛猫しらすを迎えたときです。初めて猫と一緒に暮らすことへの緊張感と責任感、大切だと心から思える存在に出会えたこと、どんな瞬間も愛おしかったです。迎えに行く道中は、初めてのデートの待ち合わせ場所に行くような気持ちでした」。瞬間を積み重ねて変化をしていく“時間”をていねいに思い返すことやかけがえなく思うこと。時の尊さを実感することができる場で、改めて時について考えたこの時間も、今後美しく愛おしいものになるのだろう。
グランドセイコーが大切にする“THE NATURE OF TIME”に内包される日本人の感性や美意識、クラフトマンシップを、菓子作家やクリエイターたちは、ため息が出てしまうような素晴らしさをもって“Grand Seiko 和菓子屋 とき”で表現し切った。圧倒的なクオリティの体験は忘れられない、そして誰かに伝えたくなる“特別な時間”になったに違いない。