Feature Model
Produced by PEN for Grand Seiko

2024.12.20.FRI

鮮やかなブルーが美しい! グランドセイコーの新ダイヤル「アイスフォール」を備えた、ふたつのモデルの"違い"に迫る

滝から流れる水が凍りついていく自然現象「氷瀑(アイスフォール)」をモチーフとした新ダイヤルが特徴的なグランドセイコーの新作。サイズと素材違いによる、「SBGH349」(左)と「SBGH347」(右)の2モデル。

滝から流れる水が凍りついていく自然現象「氷瀑(アイスフォール)」をモチーフとした新ダイヤルが特徴的なグランドセイコーの新作。サイズと素材違いによる、「SBGH349」(左)と「SBGH347」(右)の2モデル。

この秋、グランドセイコーから注目の新作が発表された。待望の新パターン&ニューカラーのダイヤルと、グランドセイコーが誇るハイビートムーブメント「キャリバー9S85」を搭載する2モデルだ。ケース経37㎜のエバーブリリアントスチール製モデル「SBGH347」と、40㎜のブライトチタン製モデル「SBGH349」。その共通の特徴と、それぞれの魅力について迫っていく。

  • 写真:宇田川淳
  • 文:並木浩一

岩手山の"冬景色"を表現した新しいブルーダイヤル

アイスブルーのカラーと力強い連続垂線のパターンは、岩手山の厳冬期のみにみられる「七滝の氷瀑」を表現したもの。

アイスブルーのカラーと力強い連続垂線のパターンは、岩手山の厳冬期のみにみられる「七滝の氷瀑」を表現したもの。

2021年に世界的な権威を持つGPHG(ジュネーブウォッチグランプリ)の「メンズウォッチ」部門賞を受賞した「白樺ダイヤル」をはじめ、日本の美しい自然風景をモチーフとしたダイヤルデザインはグランドセイコーの代名詞となっている。

今回満を辞して登場したのは、垂直方向に無数の線を施した型打ちパターンを、近年のトレンドカラーでもあるアイスブルーで描く「アイスフォール」ダイヤル。目を惹く斬新さを持つこのデザインは、グランドセイコーの機械式モデルを製造する「グランドセイコースタジオ 雫石」にほど近い、岩手山の大自然にインスパイアされたものだ。

落差30mの大滝が氷結する「七滝の氷瀑」は、岩手山の厳冬期にだけ見られる自然現象。「THE NATURE OF TIME」をブランドフィロソフィーに掲げるグランドセイコーらしく、形象と色彩の織りなす氷瀑(アイスフォール)の勇壮な情景を、新モデルの盤上に巧みに表現した。

メカニカル・ムーブメント「キャリバー9S85」を、シースルーバックを通して直接見ることができるのも魅力。

メカニカル・ムーブメント「キャリバー9S85」を、シースルーバックを通して直接見ることができるのも魅力。毎秒10振動するテンプは、動体視力の限界を超えてみせる。パワーリザーブは最大巻上時で約55時間と長く、平均日差+5~-3秒、携帯精度で日差+8~-1秒という高精度を誇る。

10振動自動巻きメカニカルムーブメントの「キャリバー9S85」は、グランドセイコーの機械式ムーブメントを象徴する名機の一つだ。一般的な機械式時計は8振動をスタンダードとするが、その上をいく毎秒10振動を誇る。振動数が多いほど外乱の影響を受けにくいため、より安定した精度を実現できるのだ。「SBGH347」と「SBGH349」はいずれも、その高性能ハイビートムーブメントの「キャリバー9S85」を搭載し、シースルーバックからは美しく仕上げられた機械の躍動を堪能できる。

1998年の歴史的名デザインを継承する「SBGH347」

ヘリテージコレクション SBGH347/自動巻き、エバーブリリアントスチールケース&ブレスレット、ケース径37㎜、パワーリザーブ約55時間、シースルーバック、10気圧防水。

ヘリテージコレクション SBGH347/自動巻き、エバーブリリアントスチールケース&ブレスレット、ケース径37㎜、パワーリザーブ約55時間、シースルーバック、10気圧防水。

共通のダイヤルとムーブメントを搭載するこの2モデルだが、ここからはそれぞれが持つ特徴を見ていこう。

まず、最新のトレンドともいえる37㎜径サイズの「SBGH347」は、ケースとブレスレットがいずれも耐食性に優れたエバーブリリアントスチール製。ステンレス・スチールの錆びにくさの評価基準のひとつに、塩化物環境で腐食に抵抗する能力を示す「孔食指数」がある。これが一般的な高級時計に使用されているステンレス・スチールと比べて、1.7倍以上を誇る。

優れた素材であると同時に、通常のステンレス・スチールよりも白く美しい素材を活かす秀逸な外観のデザインは、実は1998年に登場したグランドセイコーの伝説的名機「SBGR001」を引き継いだものだ。

ケースからブレスレットへの流れるようなラインは、永遠の名モデル「SBGR001」譲りのデザインの特徴だ。輝きの強いエバーブリリアントスチールは、定評ある“ザラツ研磨”により極上の質感に仕上げられている。

ケースからブレスレットへの流れるようなラインは、永遠の名モデル「SBGR001」譲りのデザインの特徴だ。輝きの強いエバーブリリアントスチールは、定評ある“ザラツ研磨”により極上の質感に仕上げられている。

1998年に誕生した「SBGR001」は、グランドセイコーの歴史に残るロングセラー・デザインを遺した。長く愛される腕時計を目指し、腕時計の本質と言える装着性、操作性、視認性を徹底して追求。外装にはグランドセイコー独自の技術である「ザラツ研磨」を施し、職人技による上質な造形を生み出している。

こうした普遍的な美しさを持つ「ベストベーシック」を体現したこのモデルは、現在もグランドセイコーヘリテージコレクションの基幹デザインとして多くの腕時計に影響を及ぼしている。最新作「SBGH347」もまた、この傑作デザインを正統に継承するものなのだ。

強靭で軽量なブライトチタン製の40㎜「SBGH349」

ヘリテージコレクション SBGH349/自動巻き、ブライトチタンケース&ブレスレット、ケース径40㎜、パワーリザーブ約55時間、シースルーバック、10気圧防水。

ヘリテージコレクション SBGH349/自動巻き、ブライトチタンケース&ブレスレット、ケース径40㎜、パワーリザーブ約55時間、シースルーバック、10気圧防水。

「アイスフォール」ダイヤルの魅力を40㎜のケースでダイナミックに魅せる新作が「SBGH349」である。さらにグランドセイコーが誇る独自のマテリアル「ブライトチタン」を採用することで、強靭かつ軽量、アレルギーフリーなモデルへと仕上げた。

ブライトチタンはその名の通り、沈んだ光沢の純チタンとは異なる「輝くチタン」という特性を持つ。しかも純チタンに比べて硬く、軽量でありながら純チタンよりも明るい色味を持つ高品質の素材である。さらに人体との親和性が高く医療の現場でも使われるチタンは、金属アレルギーのユーザーにも優しい。

一見するとチタンとは思えない、「SBGH349」のテクスチャー。ステンレス・スチールのような明るいブライトチタンの特性を、極上のポリッシュ技術で仕上げた。

一見するとチタンとは思えない、「SBGH349」のテクスチャー。ステンレス・スチールのような明るいブライトチタンの特性を、極上のポリッシュ技術で仕上げた。

純チタンよりも明るい質感のブライトチタンには、定評あるグランドセイコーのザラツ研磨で、立体感のある上質な仕上げが施される。ポリッシュ仕上げで明度の高い平面と角部分の面取りに対し、落ち着いたサテン仕上げが織りなす明暗のコントラストは重厚で、他では見られない極上のテクスチャーだ。

美しい輝きを放つエバーブリリアントスチール製で37㎜の「SBGH347」と、強靭・軽量かつ上品なブライトチタン製で40㎜の「SBGH349」、どちらを選ぶか。新しい「アイスフォール」ダイヤルの2モデルは、悩ましく贅沢な選択を迫る。